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SINACOVAの航跡

~ Diario di Bordo 1976–2026 ~

日本上陸45周年を記念して、SINACOVAの約50年の航跡を紐解いていきます。

第二話「海を越え、日本へ」

― 直輸入から始まった、新しい航海―

1980年:SINA COVA、日本上陸
-まだ誰も知らないマリーンブランド-

1980年。

海への憧れが、レジャーとファッションの両面で広がり始めた時代に、SINA COVAは日本へ上陸します。

ヨーロッパらしい鮮やかな色彩。
海の男を思わせるキャプテンマーク。

そして、地中海でヨットやクルージングを楽しむ人々の暮らしから生まれた、独自のマリンスタイル。
最初に販売が始まったのは、海外のアイテムを扱うインポートショップでした。

さらに、東京・青山や自由が丘のマリンショップやスポーツショップなど、当時まだ数少なかった海に関わる専門店にでも販売が開始されることとなります。

百貨店でも、直営店でもない。限られた店から始まった、小さな航海でした。

インポートショップからマリンショップへ。
さらに、ヨットハーバーやスポーツショップへ。

日本でのSINA COVAは、一店ずつ、一着ずつ、その航路を広げていきました。

1980年代前半:海を越えて見えてきたもの
-イタリアの感性と、日本の暮らしの間で-

日本での販売が始まると、イタリアにいたときには見えなかったことも、少しずつ明らかになりました。

現在ではSINA COVAの象徴となっているキャプテンマークも、日本上陸当初は主張が強く、決して受け入れられやすいデザインではありませんでした。

また、初期のマークは、白と紺の配色を反転させると、キャプテンらしい存在感が十分に出ないという課題もありました。
白地にも紺地にも映えるデザインを模索していた頃、イタリア側から改良されたキャプテンマークが登場します。

当初は受け入れられにくかった一因である強い個性が、やがてSINA COVAを一目で識別できる魅力へと変わっていきました。

一方、認知度も増え、実際に着用されるようになったからこそ、品質上の課題も見えてきました。

例えば、イタリアの服が持つソフトな仕立ては魅力のひとつでしたが、着用や洗濯を重ねると、ほつれや生地のねじれ、色落ちが起こる場合がありました。

当時は、イタリアと日本の水質や洗濯環境の違いも、その一因ではないかと考えられていました。

また、サイズやシルエットにも違いがあり、身幅や袖丈、着丈などのバランスが、多くの日本人の体形には合いにくいという問題もありました。

さらに、為替や関税、輸送費などの影響により、日本で作られた同種のアイテムと比較すると、倍近い価格になることもあり、1980年代前半の時点で5万円ほどするアイテムもありました。
当時としては非常に高価なアイテムです。

しかし、そんなアイテムだったからこそ、お客様の声が届く。
そこから、変えるべきことが見えてくる。

イタリアの感性を残しながら、日本のお客様に合ったアイテムをつくることはできないか。
直輸入を続けた数年間は、何を残し、何を変えるべきかを学ぶ、試行錯誤の時間でもありました。

1983年:日本製第一号のトレーナー
-輸入することから、つくることへ-

価格を抑え、品質を高め、日本人の体形に合った服をつくる。
その答えとして浮かび上がったのが、日本での生産です。

本格的な国内生産へ切り替える前に、伊部株式会社とイタリア側は、双方の合意のもとで実験的に日本製のアイテムづくりを始めます。

その第一号として、1983年に発売されたのがトレーナーでした。

国内で生産することで、日本人の体形に合うようサイズやシルエットを整え、日本のお客様が求める縫製や品質にも対応しやすくなりました。
また、輸入品では高価になっていたアイテム達も、手に取りやすい価格となります。

その努力が実を結び、多くの方々にご愛用いただく結果となりました。

この時点で、SINA COVA全体の流通量はまだ大きなものではありません。しかし、この一着は、日本でSINA COVAのアイテムをつくることへの確かな手応えとなります。

イタリアの感性。
日本の技術。

その二つを、一着の服の中で結びつける試みが始まりました。

1985年:MADE IN JAPANへの決断
-日本でSINA COVAを育てる-

1983年に始まった実験的な国内生産によって、SINA COVAの世界観を守りながら、日本のお客様に合ったアイテムを作れることが見えてきました。

トレーナーを皮切りに、ポロシャツ、ブルゾン、ニットなどでも試行錯誤を重ねます。
日本人の体形に合うサイズやシルエット。
ほつれにくく、細部まで丁寧な縫製。

海辺で着るブルゾンには、撥水性などの機能を加える。
日本の気候や暮らしに合わせて、変えるべきところは変えていく。

その一方で、鮮やかな色彩や大胆な意匠、海を感じさせる遊び心は失わない。
イタリアの感性を、日本の技術で形にする。
日本でSINA COVAを育てるための方向が、少しずつ見えてきました。

そして1985年。

伊部株式会社はイタリア側と正式なライセンス契約を結び、SINA COVAのアイテムを日本で本格的に生産する道を選びます。
それは、単に生産地を変えることではありません。

イタリアから、日本へ。
そして、輸入からものづくりへ。

イタリアの感性と日本の品質。この二つが出会ったことで、日本のSINA COVAならではのアイテムづくりが本格化しました。

“Per chi ama il mare,per chi ha gusto negli sport di classe.”

「海を愛する人に、優雅なスポーツを嗜む人に。」